頭部管 「管のしぼり」と「擦りの技法」

管のしぼり

従来のヘッドが若干細くなっている頭部管のテーパーは、まず油圧機で管の先端をしぼって細くし、その管をテーパー芯金なりに、ドーナツ型の鉄板に油圧機で押し込むことにより造られます。

①                              
      

④               
   

 

擦りの技法

アトリ ヤナギサワでは、この頭部管造りを「擦りの技法」で行います。

1)管を油圧機でテーパーに絞ります。(ここまでは従来の工程です。)
2)テーパー管を左手でゆっくり回しながら金属のヘラで擦ります。銀(金)の膨張力を利用し、少しずつ芯金を押し込むことで頭部管の形を造りあげます。

この様に、従来でしたら数秒の工程で出来上がる頭部管の管造りを、管を何時間も掛けて擦り上げ、管の密度を絞りながら仕上げていく製作技法が、「擦りの技法」です。
オリジナルフルートを開発するにあたり、音出しに最も重要な頭部管造りには、この「擦りの技法」を何としてもマスターしなければいけなかったのです。
製作者、柳沢智郷はこの技法をフルート造りの名工、故ヘルムート・ハンミッヒ氏から直接伝授、指導していただき、修得することができました。

  

2021年2月20日 | カテゴリー : 製造, 頭部管 | 投稿者 : staff

歌口の製造

歌口とはライザー(煙突)にリッププレートをロウ付けしたものであり、奏者が直接息を吹き込む大変重要な部分です。この歌口の製作において、どこのメーカーも未だ取組んだことのない、世界初の全く新しい製造方法を開発しました。

  

2021年2月20日 | カテゴリー : 製造, 頭部管 | 投稿者 : staff

ブレイジングライザー

下記図の様な新型の歌口「ブレイジングライザー」を考案しました。
歌口で鳴った音、音色を伝えるのは、それぞれの材質(金、銀、他…)です。
この新ライザーは音量、音色、遠達性において、よりムラの無い鳴りを実現しました。
おそらく世界初の試みであろうと思います。
アトリエ ヤナギサワは、従来の歌口とこの新しい歌口の2種類を製造します。

従来の歌口ライザー       ブレイジングライザー     
      

               リッププレートにロー付後(新型) リッププレートにロー付後(従来)
      

                管に乗ったライザー(新型)    管に乗ったライザー(従来)
      

               新型歌口ライザー(横から)   
      

 

このようにアトリエ ヤナギサワは、頭部管の製作において、管、反射板、歌口全てに、他にはない独自の製作技法を用いています。それは、ドイツの伝統的な頭部管製作技法と、自らの全く新しいコンセプトにより、開発した新技術の融合です。
そこには、アトリエ ヤナギサワ独自の音色と、吹いた時の新しい感触を味わっていただくことができます。

                               
      


 

頭部管の完成品

 

 

2021年2月20日 | カテゴリー : 製造, 頭部管 | 投稿者 : staff

木製頭部管の製作 Vol.1

黒檀製の頭部管の製作過程をご紹介します。

1.旋盤に頭部管になる材料の黒檀製丸棒を銜えさせて、内径16.5mmの穴をあけます。

2.内径19.0mmになるまでテーパーをつけるため削っていきます。

木製頭部管の製作 Vol.2

3.頭部管内部を既定のサイズに削ったら、接続部分の銀材を挿入するため更に穴を広げていきます。

4.接続管をくっつけて、木を守るためと音のために象牙リングを上下の端に付けます。

コルク栓棒の太さとネジピッチのお話

頭部管の内側上部には反射板と呼ばれるものが入っています。
そして、反射板には垂直にコルク栓棒と呼ばれている棒が付いています。
その棒の先端にヘッドスクリューがねじ込み式ではまるようになっています。

そのコルク栓棒の太さとネジピッチは、メーカーにより異なっています。
コルク栓棒の太さとネジピッチを フルートとピッコロの主なメーカー別に表にしてみました。

【フルート】

主なメーカー名 コルク栓棒直径 ねじ山ピッチ
パール楽器,マテキ,ハンッミヒ,他 3.5mm 0.60mm
ヤマハ 4.0mm 0.70mm
ムラマツ,サンキョウ,アルタス,ミヤザワ,ヤナギサワ,ラファン,日本のメーカーの標準的なピッチ 4.0mm 0.75mm
ヘインズ,パウエル,ブランネン,他 アメリカのメーカー 4.0mm 0.80mm

 

【ピッコロ】

主なメーカー名 コルク栓棒直径 ねじ山ピッチ
オールドハンミッヒ 3.0mm 0.50mm
ハンミッヒ,ヤナギサワ 3.5mm 0.60mm
ヤマハ 4.0mm 0.70mm
アメリカのメーカー 4.0mm 0.80mm