頭部管 「管のしぼり」と「擦りの技法」

管のしぼり

従来のヘッドが若干細くなっている頭部管のテーパーは、まず油圧機で管の先端をしぼって細くし、その管をテーパー芯金なりに、ドーナツ型の鉄板に油圧機で押し込むことにより造られます。

①                              
      

④               
   

 

擦りの技法

アトリ ヤナギサワでは、この頭部管造りを「擦りの技法」で行います。

1)管を油圧機でテーパーに絞ります。(ここまでは従来の工程です。)
2)テーパー管を左手でゆっくり回しながら金属のヘラで擦ります。銀(金)の膨張力を利用し、少しずつ芯金を押し込むことで頭部管の形を造りあげます。

この様に、従来でしたら数秒の工程で出来上がる頭部管の管造りを、管を何時間も掛けて擦り上げ、管の密度を絞りながら仕上げていく製作技法が、「擦りの技法」です。
オリジナルフルートを開発するにあたり、音出しに最も重要な頭部管造りには、この「擦りの技法」を何としてもマスターしなければいけなかったのです。
製作者、柳沢智郷はこの技法をフルート造りの名工、故ヘルムート・ハンミッヒ氏から直接伝授、指導していただき、修得することができました。

  

2021年2月20日 | カテゴリー : 製造, 頭部管 | 投稿者 : staff